サッカー男子１次リーグＤ組
日本代表対南アフリカ代表
2000.9.14

　さあ、いよいよ待ちに待ったシドニー五輪の初戦。対南アフリカ戦、個人個人の身体能力ではかなわないとヒデも公言する相手に日本の組織力で幸先よいスタートを気ってほしい。正直、この17連勝中の日本代表の勝利を信じて疑わなかったのは僕だけでしょうか？しかしふたをあけてみると南アフリカの強い事強い事…。

　決勝トーナメント進出へ、なんとしても勝たなければならない初戦だった。なんてたって日本は３戦目にブラジルが控えている。でもこれは南アフリカ、次にあたるスロバキアも同じことだろう。なんとしてもブラジル戦以外の２試合で勝ち点６をあげる。しかし、日本は南アのＢ・マッカーシーとノムベチの２トップに苦しめられた。また、独特のリズムで攻めてくる南アの攻撃に、ＤＦ陣もほんろうされた。とくに右サイドの仲沢がいいようにやられていたような…。仲沢は大きくってセットプレーにはいいけどそれ以外はどうも不安だなぁ…。

　先制したのは、南アフリカだった…。前半３１分、フォーチュンが右コーナーへ出したパスをＢマッカーシーがゴールラインぎりぎりで止め、そのままドリブルでペナルティーエリアまで持ち込み低めのセンタリング。それをノムベチが倒れ込みながら頭で合わせ、シュート。これが楢崎の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。これは個人技の高さの差だろう。日本人にいったいあんなプレーができるやつがいつかって？いないよ…。ありゃ楢崎もしょうがないって、ホントすごいシュートだった…。南アフリカの先制、大丈夫だろうか？？

　しかし、そんな不安はこのイレブンには必要なかったみたい。ここまでは押し込まれるシーンが多かったが、どんどんと相手陣内へ攻め始めた。前回のアトランタ、そしてフランスＷ杯、日本のいいとこっていったら守備だけって感じだったけど、今のこの代表には今までにはなかった光輝く攻撃力がある！

　前半ロスタイムに得たＦＫ、やっぱり俊輔だった！俊輔がいやなムードを断ち切る絶妙のＦＫを見せた。背番号「１０」を背負った俊輔からゴール前の高原の頭に糸を引くようなパスを通し、流れを変える同点弾を演出した。俊輔が蹴ったボールは、ゴール前へきれいな弧を描いて上がった。柳沢と高原が同時に跳ぶ。高原の頭がピタリとボールに合い同点とした。高原が日本を救った！ロスタイム、いつもやられていたロスタイムに追いついた！！

　後半に入ると、南アは日本ＤＦラインの裏に出すロングクロスを多用するようになる。ゴール前に飛び込んでくるのは、ノムベチ、Ｂ・マッカーシー、フォーチュン。しかし、森岡、中田浩、中沢の３バックに明神が絡んで必死に食い止めた。でも僕は仲沢がどうしても穴のように思えた。とくにサイドから個人技で勝負されるとサクサク抜かれていた。やっぱり強い、南アフリカ…。
　同点でハラハラの中、やっぱり均衡を破ったのは中田英寿だった。後半３４分、ＦＷ柳沢と代わったばかりのＭＦ本山からボールを受けると、上体を上げたままのドリブルを開始した。このプレー、右にドリブルしようとする本山からまるで奪うようにヒデにボールが渡る。向こうのＤＦはこの時一瞬ボールを見失ったのでないだろうか？サッカー通でもない僕にはそこまでは分からないけど、少なくともＴＶのカメラマンは本山を追っていた。もちろん僕も、「あれっ？本山…あっ！ヒデに渡ってる」ホントにコンマ何秒だけどヒデには充分な時間、ヒデがフリーで前を向いた。左サイドにはヒデに代わって司令塔、俊輔が走る。じっとその動きを見て、南アフリカＤＦ陣が気を取られた瞬間、左足からゴール前にできたスペースへとパスを放った。反応できたのは高原！完全にＤＦを降り切った、突っ込んできたＧＫにカットされる１歩前で、右足で軽く蹴り上げてゴールに流した。ワンタッチできれいに流し込んだ。逆転！！ヒデから高原、理想的な形での得点。

　リードを奪われた南アフリカの猛攻はすさまじいものがあったが長い長いロスタイムも終りホイッスル。「シドニーに戻る」と宣言した目標に向け、力強いスタートを切った。

　苦しい勝利だったが、とにかく勝ち点３！！やったやったぁ！！そんでこの試合なによりよかったのは高原の２得点、点取り屋が取れないって言われてきたＦＷ陣が仕事をした。日本は最高の状態で17日のスロバキア戦にのぞむことになった。スロバキアは今日の南アフリカよりは弱いでしょ！んで、ブラジルが南アフリカに負けるってのもまずないだろうし。って事は次のスロバキア戦で決勝トーナメントが見えてくる。次も快勝でいこうよ！！！　（やす）